2008年3月20日木曜日

ミートホープ 消費者軽視に重い判決

苫小牧市のミートホープによる食肉偽装事件で、詐欺などの罪に問われた元社長に、札幌地裁は懲役四年の実刑判決を下した。
 食品偽装事件の実刑判決は少なく、刑事責任を厳しくとらえる裁きとなった。偽装が相次ぐ食品業界に警鐘を鳴らし、信頼回復の努力を求めたと受け止めるべきだろう。
 カネもうけを優先する悪質な偽装だった。元社長は腐りかけても「肉はカネ」と言い、解凍に雨水も使った。
 罪悪感に乏しく、企業倫理やコンプライアンス(法令順守)も通用しない。会社は破産手続き中だ。食品業界にとっても重い教訓となった。
 公判で被告の元社長から消費者に対する十分な謝罪は聞かれなかった。食品会社に原材料を納入する卸の立場だったとはいえ、消費者の顔が浮かばなかったとしたら残念だ。
 消費者からの健康被害の訴えはないというが、食中毒は集団発生か病院へ駆け込む場合でないと表面化しない。家庭内でアレルギー症状や腹痛、下痢などが起きていたかもしれない。
 ミートホープ事件は全国で食品偽装が露呈するきっかけとなった。消費者よりも、もうけ優先の考えが一部にしろ食品業界にあるとすれば心配だ。
 うそやごまかしもあるとの前提で、行政も企業も安全の監視体制を組み立てていくしかない。
 一連の食品偽装や中国製冷凍ギョーザによる中毒事件をきっかけに、政府は消費者行政を一元化して、新組織をつくる議論を進めている。裏を返せば、それだけ消費者に目が向いていなかったということだ。
 ミートホープ事件でも、これだけの偽装が長年見過ごされ、製品はやすやすと店頭に回っていた。
 農水省の道農政事務所、道などは内部告発を生かさず、立ち入り検査も事前通告する失態を演じた。
 消費者行政の一元化では、内部告発などの情報収集から被害の分析、立ち入り検査、法執行まで一貫して行える仕組みと組織が必要だ。
 食品表示を取り締まる日本農林規格(JAS)法の不備も分かった。食品会社に原材料を納入する卸業者が虚偽の表示をしても同法の罰則は適用できなかった。ミートホープは厳重注意処分の行政指導にとどまっている。
 法改正で、四月からは原料供給者にも原材料名などの表示が義務付けられるが、食品行政に加え、法規にも甘さがあった。
 食品業界が自主的にすべきことは山ほどある。企業によっては納入工場に対する検査を強化し、想定外だった農薬の検査項目を拡大している。
 義務化されていない製造年月日の併記も、もっと広げるべきだろう。
 厳しい判決を食の信頼を取り戻すためのきっかけとしたい。

(北海道新聞より引用)

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